親友萌えって、いくつ読んでも良いものですね。 †

「セルさんの『親友』か。ろろみはもう読んだ？」
「うん。二十歳を過ぎた青年が、あたしたちと同じくらいの少女に変身するストーリーね」
「それで押しかけ女房になっちゃうってわけか」
「おかげでフリーターだった主人公も就職できたし、ハッピーよね」
「シンちゃんにもそんな女房が来てくれたら、伯父さん伯母さんも楽になるのよねえ」
「史枝ちゃん、話を俺に逸らすなよ」
　セルさん（ひらがなの「せる」さんのほうがいいかな？）、はじめまして。微風ろろみです。詳しくはこうけいさんの『微妙存在ろろみ』をごらんくださいね。お暇があれば。
　あたしも今、親友と一緒です。クラスメイトの史枝とふたり、街角のカフェで雑談中なんです。あっ、ふたりじゃないか。あたしの保護者にして史枝のイトコ、シンも隣で見守ってます。だけど真相は、あたしがもとの、そして本当のシンなんです。秘密の分身ＴＳとかいろいろあって、こういうことになってます。だから実質、史枝とあたし＝シンのふたりともいえたりするんです。

「でもさ史枝、親友が突然性転換しちゃったら、どんな気分になるんだろうな」
「あたしは女の子だから女が男になるＴＳで考えてみちゃうね。ろろみが突然男の子になっちゃったら」
「あたしが？　男の子に？」
「そ。すんごくカッコよくてさ、頭脳明晰でさ、頼りがいあってさ、それでいてあたしのことだけ見てくれる男の子になりそうで、萌えるじゃん。ついでに、数歳年齢もアップしてくれてるとうれしいかなって」
　それってつまり、もとのシンってこと？
「ちょっとシンちゃん、何クスクス笑ってんの？　って、ろろみ何赤くなってんの！？」

「嘘をつかない親友っていいよね」
「辰也が大輔に信じてもらえたのも、そのおかげだね」
「そうそう。ろろみも、あたしには嘘なんかつかないよね」
　史枝に言われて、あたしは言葉を濁しました。だって、あたしの存在自体が、いわば嘘なんですから。
「うん、嘘つかないって……思う」
「何それ。ダメ。不許可。ありえない。ろろみがあたしに嘘つくはずない。言ってみて」
「……わかった。あたし、史枝に絶対、嘘つかないから！」
　正直言って、純粋にキレイな辰也ちゃんが羨ましく感じました。

※：純粋な書評形式ではなく会話形式ですが、あえてこの書評集に再録させていただきました。（こうけい）