ある騒々しい一日 三日目

喫茶ブルーコスモスNo83(投稿者:きりか氏)より

「ったくよー、なんで俺たちがこんなことしなきゃいけねーんだよ、なあ碓氷?」
秋綺がこっちを向いて、こそっと顔をしかめて見せた。
「……ウェイトレスだぜ、しかもメイド。 馬鹿じゃねえのか」
「そこ! さぼってないでコレ運んで!」
夏月が目ざとくチェックを入れて、秋綺と僕にトレイを渡す。
「意外と忙しいんですのね、こんなぼろ……あら失礼、こじんまりしたお店でも」
春花さんはあいかわらずのんびりした口調で、でも裏でいろいろ考えていそうだ。

「……坂田って、なんであんなに張り切ってんだ?」
「そこが夏月らしくっていいんじゃない」
「ハタメーワクなんだよ、あいつはよ、俺たちはあんな元気じゃねえっつーの」
口調はそうでも、秋綺の表情はけっこうここを楽しんでるようだ。

僕? 僕も、たのしい。 いつまでもこうしてみんなでいられたらいいな、なんて。

「だいたいあのマスターっつーのはなんだ? あんなので勤まるのかよ」
「あ。それは僕もそう思うよ。 確かにきれいだけど、普通、客を放り出してゲームしないよね」
「お人よしばっかりだな。 自分で飲み物いれてやがるぜ、あの関西弁。 しっかし連れの女の子もちっさいのに偉そうだな。 ちょっと躾けとくか?」
「あ、あの子はやめておいた方がいいって春花さんが。 すごい魔法を使うらしいよ」
「……マジかよ。 あっちの姉ちゃん(楓)もこっちの姉ちゃん(フルミ)も腕っぷし強そうだしよ、あそこのミミのついた姉さんなんか銃のニオイがするぜ? まともなのいねえのかここの客」
「まともそうなのは、あそこのテーブルだけだよね。 すっごい美人のお姉さんとお友達と、お兄さんの。」

そのテーブルのお兄さんがこっちを向いて手を上げた。

「おーい、お冷やのお代わり」
「はい、お待ちください! ……ちょっと行ってくらあ」
秋綺、きみだってそうとうお人よしじゃないかと。

「どう、冬雪。 触られてない?」
「夏月。 男の僕にむかってその挨拶はないでしょ」
「なに言ってるの冬雪チャン。 さっきここのオーナーも、じぃっと見てたわよ」
「え、うそ。 ちょっと気持ち悪いな」

「なんかあったらあたしに言いなさいね。 誰が相手でもきっちり殺したげるからね?」

「あ、やる時は俺も混ぜろよな」
「あたしもやる! 夏っちゃん秋くんがやるなら絶対協力! 冬くんいつでも言ってよね!」
「あれ、マスターはゲームしてたんじゃなかったんですか?」
「妾も参加するのじゃ、いつでも声を掛けてたもれ」
「えっと椿ちゃんだっけ? あははは気持ちだけ頂いておくね、ありがとう」

「あ、椿ちゃん、あたしにタマの抜き方教えて?」
「秘技じゃ。 ひとことで言えばこうしてこうじゃが、一朝一夕にはちょっとな」
「うー魔法なら一瞬で覚えられるのに……」


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Last-modified: 2006-11-15 (水) 00:18:59 (6387d)